発表会に向けて

発表会に向け、小さい生徒さんまで全員の曲が決定しました。曲の大きさや難易度に関係なく、楽譜から色々なことを読み取り、音に自分の気持ちを乗せて演奏できるようにしていく行程は、本来とても楽しい作業です。

ただ、普段のレッスンと違ってくるのは、”発表会”という締め切りがあるという点です。残りのレッスン回数と曲の進捗状況によっては「間に合わないよ~!」と厳しいレッスンになることもしばしばです。

 

それでも生徒さんたちは、色々なことで忙しい中、よくついてきて下さっています。

生徒さんたちに「誰に一番聴いてもらいたい?」「誰に喜んでもらいたい?」と尋ねると、全員がお父さん・お母さん、おじいちゃん・おばあちゃんなど”お家の人”をあげてくれます。

「じゃあ、喜んでもらえるように頑張ろうか?」「先生はそれを応援する役だから、一緒に頑張れる?」と聞くと、「はい!」と言って、誰かの役に立てる喜びのパワーを全身に帯び、瞳をキラキラさせてくれます。生徒さんたちの素直さに感動し、ご家庭の温かさを感じる瞬間です。

 

一方で私は、発表会に捉われ納得のいくレッスンができなかった日は、心にズシンと重たいものが残り、反省しきりです。

先日、自分のピアノのレッスンで師匠が「今日の僕のショパンの音はダメだったなあ。」「帰りの電車から反省するんだよ。」と仰っていました。毎回天から降るような音色を聴かせて下さり、魔法の様に私たちの力を引き出され、名言で私たちを唸らせ、褒めて褒めて引き上げて下さる80歳の師匠なのにです。3時間のレッスンの最後に奏でた音が納得がいかなかったと。そしてきっとそのショパンの音色を、次回まで更に掘り下げ続けられるのだと思います。

出来の悪い生徒を常に励まして下さる広い心と、ご自分には一切妥協を許されない姿には、ただただ敬服するばかりです。反省の内容からして師匠の足元にも及びませんが、私も反省と改善を怠らず、いつも謙虚でありたいと思ったのでした。

 

毎週笑顔で来て下さる生徒さんには心から感謝です。

師匠から受けている音楽の喜びや幸せな気持ちが、生徒さんたちに少しでも伝わるレッスンができますように。

生徒さんたちの「大好きな人に喜んでもらおう作戦」が成功しますように!