コアのお話

 「コア」(体幹深層部)が上手に使えている方を発見するのは楽しいです。

 

舞台をスーッとすり足で歩く歌舞伎役者さんや、写真の中で立っているだけで目立つ狂言師さん、伝統芸能の方は特にコアが使えているんだなぁと感じます。

 

一般の方でも、歩いているだけでとか、リズムを取っているだけで、惹きつけられる人がいらっしゃいます。

 

ちょうど一年前、コロナで公演中止になるギリギリで観ることのできたミュージカルでは、主役の後ろで踊るアンサンブルの一人の方の身のこなしが上手すぎて衝撃的でした。

気付いてしまった瞬間から終演まで、「主役の方、ちょっと横にズレて~」とか思いながら、ずっとその方に釘付けになっていました。

 

自分がマスターできていなくても、人のことから分かるようになるのが不思議です。

 

  

そんなコアは、見た目の美しさだけでなく、生きる力にも直結していると感じます。

 

人間を木に例えると、コアは「根っこ」の部分とも言われています。

それに対して、勉強や運動や芸術は「枝葉」の部分なのです。

 

根っこがしっかり成長していないのに、枝葉の部分ばかり伸ばそうとしても、無理がかかりすぎてしまいます。

 

ピアノのレッスンで姿勢を注意したり、からだのバランスの話をするのは、そのためです。

できるだけ生徒さんそれぞれの特徴やクセを見極めて助言し、からだの根幹となる部分をしっかり使え、動ける人に成長して欲しいと思っています。

 

 

それにしても、生徒さんたちの吸収力は素晴らしいです。

「若木」の成長を目の当たりにできることは、本当に嬉しいです。

 

私もコアを鍛えるワーク、避けては通れないので観念して取り組んでいます。

でも、「老木」はその成果を実感できるのに何年か要するのです。

「もっといい音を鳴らせたらなぁ」「ちょっとでもいい声で歌えたらなぁ」などと願望は抱きつつも、とにかくジワジワと継続していくことが大事だと思っています。