先日、卒業生の方から「成人しました」というポストカードが届きました。
鮮やかな晴れ着で柔らかく微笑む彼女はお花のようで、こちらまで一気に嬉しい気持ちにさせられました。
そして、昔「先日は七五三でした」というお手紙を彼女のお母様からいただいたことを思い出し、久しぶりにお手紙箱をひっくり返してみました。
残念ながらそのお手紙は見つけられなかったのですが、これまで生徒さんやお家の方からいただいたお手紙に再会することができました。
時が経っていても、開くとそこから何かが流れ出てくるような感覚があり、今の自分にも温かい力が染み込んできました。
手紙はいいですね。
紙には特別な何かがあるような気がします。
小説も電子書籍より紙の本が断然好きです。
新聞は時代の流れで止めてしまったけれど、デジタルは苦手で、もう一度紙面購読しようかなと思っています。新聞は、めくる時のパラーっという音も好きです。
紙といえば、楽譜も好きです。
練習が進んでいくと、見えてくるものが増えたり、見え方が変わってきたり。
作曲家がその音にしたかった気持ちや、その和声でないといけなかった理由、なぜその曲をつくったのかなど考えていると、多くの方が仰っているように、まさに楽譜は作曲家からの私たちへの手紙だと感じます。
そして、楽譜を見てそれを音で再現するのがますます楽しくなりますね。
さて、今必死で行っているのが、リトミック試験課題の自分で作った曲の暗譜です。
自分の中から捻り出したものを楽譜にして、それをまた自分の中に戻すという作業です。
自分から出たものなのになかなか覚えられず、脳の中のどこかに、楽譜の残像、旋律、和声、階名、筋感覚など使えるものを総動員させて入れ込んでいっています。
覚えられるように曲を簡単にしていけばよいのですが、そこはあまり妥協したくないという気持ちもあり(作曲家の気持ちがわかります)、自分が覚えて弾けるギリギリのところを探っています。
楽譜大好きの私にとって、目の前に紙が無いのは不安でしか無いです。
改めて、発表会で暗譜で弾き切る生徒さんたちは素晴らしいと感じます。
いつも生徒さんに言っているように、地道な練習を積み重ねていくしかないですね。
紙を頭の中にしまい、あとは神頼みでいきたいと思います。